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抗菌薬の使用について

近年、多剤耐性菌の増加を受け、その原因となっている不適切な抗菌薬使用を抑制するために、厚生労働省より「抗微生物薬適正使用の手引き」、日本感染症学会より「気道感染症の抗菌薬適正使用に関する提言」などが出されております。
多くの風邪症候群(咳嗽、鼻汁、咽頭痛)の原因はウイルス感染であり、抗菌薬は効かないばかりか体内の常在菌などから耐性菌を生み出す可能性が指摘されており、不適切な抗菌薬使用を無くすことが喫緊の課題となっております。
当院でも従来の抗菌薬使用を見直し、風邪症候群に対しての抗菌薬使用を控える取り組みを行ってまいります。ご理解とご協力を宜しくお願い致します。

眠剤、安定剤の使用について

不眠症の対する眠剤、安定剤の投与量が増加しており、長期の服用による依存の問題が指摘されています。依存に陥ると体の慣れからくる効果の低下をきたし、結果的に投与量の増加や複数薬剤の服用と内服量が増えてゆき、それに伴う副作用の増加も危惧されています。投与日数(同じ月に30日分まで)の制限や処方できる医師を制限してゆく施策が行われています。薬に頼らない睡眠習慣を広めてゆく必要性が指摘されています。

ポリファーマシーについて

ポリファーマシーは、「poly(複数)」+「pharmacy(調剤)」からなる言葉です。

必要とする以上の薬や不要な薬が処方されていることによって、副作用が増えたり服薬の間違いが起きたり、自分の病気や治療方針を理解して正しく服薬することができなくなる状態、すなわち、「害のある多剤服用」を意味する言葉です。

何種類からポリファーマシーかという定義はありませんが、6種類以上がひとつの目安を考えられます。薬の数が6種類を超えると副作用の発生頻度が大きく増加というデータがあるためです。一方で、治療に適正な薬の数が6種類を超えることも当然ありますし、処方された薬の数が少なくても問題が発生することもあります。処方された薬の数ではなく、その処方内容が適正かどうかという点で判断します。

仮に多くの医薬品を使用していても、患者さんの治療や健康管理に必要な場合は、ポリファーマシーではありません。例えば、糖尿病の治療では、作用機序の異なる複数の薬剤を組み合わせて治療する場合があるほかに、高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症などを含めたメタボリックシンドロームに対して多剤内服治療が必要となる場合も多いため、ポリファーマシーとしません。

ポリファーマシーが起こりやすい背景として、①多臓器の疾病や機能低下により多彩な症状のそれぞれを治療する場合、②複数の医療機関にかかっている場合、③他の治療薬の副作用を緩和するために薬が処方される場合、④予防的な治療を行っている場合、⑤薬をやめると具合悪くなるという不安感が強い場合などが考えられます。

特に高齢者は加齢による生理的な変化によって一般の成人とは薬物の反応や効果の度合いが異なる場合がある点や、複数の薬を服用していることも多い点などから、薬物有害事象のリスクが高いと言えます。

予防薬の有効性を見直す、対症療法の有効性を見直す、薬物以外の治療法の検討、治療の優先順位を見直す、副作用の起こりやすい薬剤を選択しないなどの取り組みを考えるきっかけとして、ポリファーマシーという問題を意識してゆくことが重要です。

ポリファーマシーの改善、解消には時間が掛かります。どの病気、症状に介入するかについては、患者さん自身の価値観や人生観もかかわってきます。薬の減量や中止にともなって症状が悪化し、生活に悪影響を及ぼすことが無いように、慎重に薬剤を吟味して減量・中止を試みて、注意深く経過を観察しながら進めてゆく必要があります。

クリニックの院内処方では薬剤師のサポートを受けにくいことから、院外薬局を利用するにより、薬剤師のチェックを受け、お薬手帳を通じて複数医療機関からの処方を把握し、医療機関に対する処方箋の疑義照会などを通じてポリファーマシーの有無の把握および解消に向けた取り組みを加速させることが可能となる場合があります。

処方薬が多すぎることに不安を感じている方は、遠慮なく医師に相談してください。

参考文献:
実践 さよならポリファーマシー 北 和也 編著
高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015 (日本老年医学会)

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